これは昔、田舎町で育った少年の話。
とある山の中、最寄りの自動販売機まで2kmの山道を、必死にチャリをこがなければコーラも手に入らないような場所だった。
まだまだこんなレベルではない田舎は沢山あるだろうけど、彼には手に入る物の割に過酷だった。
お小遣いを握りしめて買いに行っても、帰りの道中 喉が渇いて、家に着く頃にはコーラは空になってしまっていた。
空を飛びたい🥹
彼は常にそう思っていた。
小さな山を迂回する道を、迂回せずにビーチサンダルで山を突っ切ったりした。
よく怪我をした。
そりゃそう。
お前よく生きてたな!
そんな彼にも、ピカピカの新1年生の時期があった。
入学する時、運のいい事に新しい校舎が完成し、学校が新品だった。
新しいランドセル、新しい教科書、新しい水筒。
ピカピカの入学式。
桜の花びらがアスファルトで反射して眩しかった。
その2日後、彼は全てを
川に流した。
もうよく覚えていないが、おそらく遊びながら帰っていたのだろう。
全ての教科書とともにランドセルが川に浮いていたのを覚えている。
必死だった。
水筒の紐を握りしめ、振り回してランドセルを捕らえようとした。
まるで縄を回すカウボーイ。
獲物のランドセルは加速した。
それと同時に水筒を
川に流した。
道路工事しているであろう場所の四隅に立てられたカラーコーン。
考える暇もなかった。
彼はそれを掴み、瞬く間に
川に流した。
ぐっちょぐちょの靴が通過したアスファルトには
、小学生の小さな足跡が残っていた。
やれるだけのことはやった、彼の体力は限界だった。
そこに現れたのは同じ帰り道の上級生だった。
そいつは素早く的確に川からランドセルと水筒とカラーコーンを救い出した。
感謝しかなかった。
コーラでも奢ってあげたい気分だった。
実際に何かお礼をしたかは、覚えていない・・
その後、洗濯バサミで干された教科書を横目に怒られたのをよく覚えている。
あの上級生がいなければ、自分が干されていた。
ありがとう。
数ヶ月後、その川を逆走して帰宅中、ビーチサンダルを川に流した。
多分あの上級生がまた救い出してくれたかな。
いい思い出だ。