これは昔、田舎町で育った少年の話しである。
訳が分からないが、黒いビニール袋をかぶる事にハマっていた時期がある。
大きなゴミ箱の為に備えてあった黒いビニール袋に、頭から全身スッポリ入る。
立ち上がると、膝から下の足が黒いビニール袋から出ている状態。
妖怪である。
シュレディンガーの的な状態の、なにが面白いのか。
外からは黒い妖怪だが、内側からは外が見えていた。
少年には、それが楽しかった。
遊びに来た友人の横に、鎮座した黒い妖怪。
第三者からしたら訳が分からない。
友人も友人で、それを受け入れてゲームをしながら妖怪に話しかけて、談笑していた。
少年は静かに実験を開始した。
まず手始めにパンイチになり、すごく変な顔をして座っていた。
友人はゲームをしていた。
よし。
次にオロナミンCを持って来て、友人の横で一気飲みしてみせた。
我慢したゲップが喉でコポコポと鳴る音がした。
友人はゲームをしていた。
よし。
涙目だった。しかし、こんなに上手くいくとは!
次に、飼い猫を抱っこして来て座った。
猫は暴れ始め、足元から出た。
友人はゲームを止めて、こちらを凝視した。
コントローラーは置かなかった。
・・よし。
次に、ご飯と味噌汁、卵焼きを焼いて小さなトレーに乗せて現れる。
そしてその定食を友人の横で食べ始める。
もちろん外見からは分からない。
実験失敗。
ビニールの中は曇っていて何も見えなかった。
友人のコントローラーが机に置かれる音がした。
ガタッ
友人の伸ばした手が定食に触れ、ひっくり返えった。
大惨事だった。
友人は少し怒っていたようだ。
当たり前だ!
卵を4個も使った卵焼きだったのだから・・
この事を説明すると、友人はノッてきた。
妖怪が2体に増殖。
部屋の横を通り過ぎた おばぁちゃんは立ち止まった。
ちゃぶ台を挟んで左右に展開した妖怪達。
そりゃ不思議。
どっちが、ひろちゃん?!
こっち!!
・・どっち?!
なんとシュールな。
あなた達・・面白いわね。
意外とうけた!
実験は成功だ。
ところで、卵無くなってるから買って来て欲しいんだけど。
実験失敗。
いい思い出だ!