2026.07.10

ノスタルちっく 2

これは昔、田舎町で育った少年の話しである。

 

訳が分からないが、黒いビニール袋をかぶる事にハマっていた時期がある。

大きなゴミ箱の為に備えてあった黒いビニール袋に、頭から全身スッポリ入る。

立ち上がると、膝から下の足が黒いビニール袋から出ている状態。

 

妖怪である。

 

シュレディンガーの的な状態の、なにが面白いのか。

外からは黒い妖怪だが、内側からは外が見えていた。

少年には、それが楽しかった。

遊びに来た友人の横に、鎮座した黒い妖怪。

第三者からしたら訳が分からない。

友人も友人で、それを受け入れてゲームをしながら妖怪に話しかけて、談笑していた。

 

少年は静かに実験を開始した。

 

まず手始めにパンイチになり、すごく変な顔をして座っていた。

友人はゲームをしていた。

 

よし。

 

次にオロナミンCを持って来て、友人の横で一気飲みしてみせた。

我慢したゲップが喉でコポコポと鳴る音がした。

友人はゲームをしていた。

 

よし。

 

涙目だった。しかし、こんなに上手くいくとは!

次に、飼い猫を抱っこして来て座った。

猫は暴れ始め、足元から出た。

友人はゲームを止めて、こちらを凝視した。

コントローラーは置かなかった。

 

・・よし。

 

次に、ご飯と味噌汁、卵焼きを焼いて小さなトレーに乗せて現れる。

そしてその定食を友人の横で食べ始める。

もちろん外見からは分からない。

 

実験失敗。

 

ビニールの中は曇っていて何も見えなかった。

友人のコントローラーが机に置かれる音がした。

ガタッ

友人の伸ばした手が定食に触れ、ひっくり返えった。

大惨事だった。

友人は少し怒っていたようだ。

当たり前だ!

卵を4個も使った卵焼きだったのだから・・

 

この事を説明すると、友人はノッてきた。

妖怪が2体に増殖。

部屋の横を通り過ぎた おばぁちゃんは立ち止まった。

ちゃぶ台を挟んで左右に展開した妖怪達。

そりゃ不思議。

どっちが、ひろちゃん?!

こっち!!

・・どっち?!

なんとシュールな。

あなた達・・面白いわね。

意外とうけた!

実験は成功だ。

 

ところで、卵無くなってるから買って来て欲しいんだけど。

 

実験失敗。

 

いい思い出だ!